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STORY のり面緑化工のネイチャーポジティブ

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「2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させ、回復軌道に乗せる」、いわゆる「ネイチャーポジティブ」が新たな国際目標として掲げられました。のり面分野においても、ダム工事などの大規模な開発や自然保護地域では、生物多様性保全の観点から、現地の植物を使って緑化することが多くなってきました。
現地の植物を使った緑化では、周辺の野山から採取した種子を使用する方法や、地域住民や子供達の手で育てられた苗木を使用する方法が広く知られています。当社では、生物多様性条約が結ばれた1990年代には、現地の植物による緑化の研究開発に着手し、各種の緑化技術を世に出し続けてきました。その成果のひとつとして、森の土を専用の植生基材に入れて吹き付ける「マザーソイル工法(森林表土利用工)」を2001年に実用化しました。

森林表土は,自然の営みにより長い歳月を経て作られた貴重な資源です。この中には数多くの発芽可能な埋土種子(表土シードバンク)が含まれています。そのため,マザーソイル工法で緑化したのり面からは,現地に自生する多種多様な植物が芽生え,より早く周辺環境と調和した植物群落を成立させることができるのです。
このことを明らかにするため,マザーソイル工法を初めて施工した京都府宮津市の「丹後海と星の見える丘公園」の現場では,施工後12年間にわたる詳細な追跡調査を行い,表土からの芽生えがたどる植生遷移の解明に努めました。

調査で得られた数多くの知見は「京都府北部における森林表土を利用した植生基材吹付工の植生遷移と自然回復」をはじめとする学術論文として外部に広く発信され、国土交通省や林野庁、環境省の指針・手引きへの表土利用工掲載の科学的根拠を提供することができました。
当社は、美しい自然環境を後世に残したいという思いを同じくする全国の企業(マザーソイル協会)と共に、これからも本工法の技術向上と普及を推し進め、2030年に向けたネイチャーポジティブの実現を目指しています。

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